下田街道は冷む晴れ

きょうは『有りがたうさん』ロケ地ツアーのメイン。基本的には下田街道を下田から修善寺まで走る。
映画では、下田を出たバスは当面海沿いを走る。その後山間部に入り、“ようよう一つ峠を越え”て湯ヶ野に着く。これを見て、白浜→河津→湯ヶ野というルートを想像したのだが、地図を眺めると、どうも河津から湯ヶ野の間には峠がないようだ。
よくわからないまま、白浜方面に出発。確かに白浜には見覚えがある。それでは河津はどうか。旅芸人の水戸光子が父親から有りがたうさん経由の伝言で河津へ急ぐというエピソードはあるが、バスが河津を通ったかどうかは不明だ。僕らが河津に入って、そこが海から急な上り坂になっているわけではないことに気がついたとき、清水のトリックを疑うようになった。
いま一度、地図を眺める。で、“峠”とは峰山トンネルではないかと検討を付けた。白浜から峰山を通るルートというものはない。ないのだけど、峠がないことも確かで、それでも映画にはその峠が撮影されているのだ。これは清水が映画的に下田街道を改変したとしか思えない。ルート変更。
河津からバガテル公園方面へ向かい、峰山トンネルに至る。立派なトンネルの横に旧道があったのでそちらに進む。が、行き止まりだ。先には雑草がうっそうと繁っている。おそらくトンネル跡があるのだと思われる。新しいトンネルを歩いて向こう側に行ってみると、そちらには旧トンネルを埋めたらしい跡がかろうじて確認できた。そんなわけで、一つ目の峠はここであることに決めた。
湯ヶ野に向けて下る。途中から、ぱぁっと風景が開けてくる。川が見える。橋が見える。映画ではラーメン構造の鉄製に見えた橋は、渋いコンクリート製に変わっていた。湯ヶ野バス停を見に行くが、これはもちろん映画中の場所とは違うだろう。
旧天城トンネルは感動ものだ。バスを降りて休憩する乗客や有りがたうさんは、谷底へ向かい石を投げていた。それを見て、下に人がいる可能性はないのかと心配だったが、実地を見るとただの谷でそんな心配は無用そうだった。
トンネルの先で映画に出てきたと推定できたところは一ヶ所のみ。女歌舞伎をやっていた街くらいは同定したかったのだけど、無念だ。