伊香保温泉

泊まった岸権旅館の温泉は湯量もたっぷりで、よかった*1。そもそもなぜ伊香保なのかというと、これは長年の懸案で、成瀬巳喜男の『浮雲』(1955/東宝)、小津安二郎の『秋日和』(1960/松竹)の舞台だからだ。両作とも基本的にセット撮影なので、ロケ地巡りうんぬんではないのだけれど、石段街の雰囲気を味わってみたかった。宿は石段街のそばにあるので、朝、散策した。まだ9時だというのに、すでに多くの観光客が歩いていてお店も結構開いている。来る前に意味もなく期待した鄙びた感じはないが、考えてみれば上記2作品の時代にあってもにぎやかだったはずだ。温泉地の歓楽街といえば現代では悲惨な状況がまま見受けられるのに、伊香保はなかなか栄えていて頼もしい。

*1:いつかの蔦温泉のように、カメムシの来襲には困ったが。